こんにちは、アルファ・アドバイザーズ代表のTJです！

はじめに：変わりゆく採用の「常識」

お子様の将来を思い、小学校受験や中学校受験に全力で取り組まれている保護者の皆さん。その努力と愛情は本当に素晴らしいものです。
しかし、2025年現在の採用市場を見ると、これまでの「良い大学に入れば良い会社に就職できる」という図式が大きく変わってきています。特に人気の高い商社、金融、テクノロジー業界では、従来の学歴重視から実践的な能力や国際経験を重視する新たな採用基準が生まれています。
この変化は一時的なトレンドではありません。グローバル化の加速、AI技術の発展、そして世代交代による価値観の変化が重なり合い、日本企業の採用戦略を根本から変えているのです。シリーズでは、現在進行中の採用革命の実態と、お子様の未来を守るための新しい教育選択について詳しくお伝えします。

各業界で起きている「採用革命」

🏢 商社業界：グローバル人材争奪戦の激化

総合商社では現在、従来の学歴重視採用から大きく方向転換しています。背景にあるのは、資源ビジネスからサステナブルビジネスへの転換、そして新興国市場での競争激化です。
現在求められているのは：
実践的な語学力（単なるTOEICスコアではなく、現地でのビジネス交渉能力）
異文化でのコミュニケーション経験（多様な価値観の中での問題解決力）
サステナブルビジネスへの理解（ESG投資や再生可能エネルギー分野の知識）
デジタルトランスフォーメーション（DX）対応力（AIやIoTを活用した新しいビジネスモデルの理解）
三菱商事や伊藤忠商事などの大手商社は、再生可能エネルギー事業への転換を進める中で、海外での実務経験や多様な文化背景への理解を持つ人材を積極的に採用しています。

💰 金融業界：多様性重視とデジタル人材の大量採用

金融業界では、バブル世代の大量退職に伴い、これまでにない規模での採用活動が展開されています。同時に、デジタル化の波により、従来の金融サービスの枠を超えた新しいビジネスモデルが次々と生まれており、それに対応できる人材が急務となっています。
注目すべき採用動向：
金融システム職の求人増加
経営企画職では国際経験者が優遇（グローバル戦略立案のため）
不動産金融分野でグローバル案件対応者を急募
ITプロジェクトマネージャーの需要が急激に拡大（DX推進のため）
メガバンクや証券会社では、「創造性・多様性・グローバル感覚」を重視する採用へと大きく舵を切っています。

💻 テクノロジー業界：スキルベース採用の完全シフト

最も劇的な変化を見せているのがテクノロジー業界です。ChatGPTをはじめとする生成AI技術の急速な発展により、業界全体が人材確保に躍起になっています。
驚くべき採用実態：
AI人材には年収1億円超の提示も（特に機械学習エンジニアや研究者）
学歴よりも実践スキルを重視する「スキルベース採用」が主流
生成AI専門知識を持つ人材の獲得競争が激化
海外での開発経験者が圧倒的に有利（最新技術へのアクセスと実装経験）

注目業界の採用変化

企業の採用戦略の変化は、業界全体のニーズ変化を反映しています。特に顕著な変化を見せている主要業界の動向をいくつか例に挙げて見てみましょう。

商社・金融業界

・三菱商事（総合商社）
出典： 海外大学生向け就職情報サイト（2023年2月）
概要： 2024年度入社の新卒採用では、従来の夏季選考を廃止し、海外大学の正規留学生や交換留学生も対象とした3月・6月選考に変更しました。この変更に伴い、採用担当者による海外大学生向けセミナーが開催され、「交換留学生も対象」であることが明記されています。また同社はボストンキャリアフォーラム等の海外大学生向け採用イベントにも参加し、海外大生を積極的に採用しています（公式Instagramでも海外大学留学中の学生対象の選考実施を告知）。

・三井住友銀行（メガバンク）
出典： 読売新聞オンライン（Yahoo!経由）／Financial News Japan（2024年10月28日）
概要： 英語力の高い学生を確保するため、2025年入行者向けに「最短2年目で米英に海外配属」を確約する新採用コースを新設しました。数名規模で、入行時に将来のニューヨークまたはロンドン勤務を約束する内容です。配属先が不透明な「配属ガチャ」を無くし、語学力に優れた優秀な学生を取り込む狙いで、海外留学経験者などグローバル人材を優遇する施策と報じられています。国内銀行で入社時に海外勤務を約束するのは初の取り組みです。

通信・IT企業

・ソフトバンク（通信・IT）
出典： ソフトバンク新卒採用FAQ（2025年版）
概要： 採用公式サイトのFAQで「国籍にかかわらず人物重視」と明言し、海外からの留学生の積極応募を促す回答を掲載しています。実際に同社は海外大学出身者の採用実績があり、公式に「採用実績あり」と述べています。また、ソフトバンクグループとして海外大生対象のポジション別採用枠を設けるなど、留学経験者を対象とした特別選考も行っています（2022年には海外大生向け財務・経理ポジションの募集を告知）。

・楽天（IT・サービス）
出典： U-inTern 就活情報記事（2025年5月1日）
概要： 社内公用語を英語とする楽天は、国内外の幅広い大学から積極的に人材を採用しており、海外大学出身者も多数採用している点が特徴と報じられています。実際、近年では日本国内にいる留学生だけでなく海外の大学から直接新卒採用を行っており、グローバル人材の確保に力を入れています。英語能力（入社までにTOEIC800点相当）が求められることもあり、留学経験や海外生活経験がある人材が有利となる傾向が指摘されています。

Google（グーグル）［GAFAM］
出典： UT-Board 就活記事（2025年5月15日）
概要： 世界的IT企業Googleの日本法人でも、ユニークな経験を持つ学生が内定者に多いと分析されています。その例として「大学時代に起業」「部活で全国大会出場」そして「海外の大学に留学した経験」が挙げられ、留学経験は選考で大きなアドバンテージになると記されています。難関企業の選考突破には他人と差別化できる経験が重要で、グローバルな視野や語学力を培った留学経験者は採用面接で高く評価されるようです。

・Amazon（アマゾンジャパン）［GAFAM］
出典： Renewキャリア（就職情報サイト）記事（2025年4月1日）
概要： 新卒採用のスケジュール面で海外大学生に配慮した枠組みを設けています。具体的には、日本の大学生向けの選考試験を主に4月に実施する一方、海外大学在籍者や留学から帰国する学生向けには9月にも選考機会を設けています。これは入社試験の段階で英語力が求められることも背景にあり、海外大生・留学経験者が多く応募してくるためです。言い換えれば、英語力・海外経験を持つ人材が有利になりやすい採用プロセスとなっています。
(※AppleやMeta（Facebook）、Microsoftなど他のGAFAM各社も、公式には新卒採用枠が限られるものの、グローバル企業ゆえに高い英語力や海外経験を持つ人材が相対的に有利とされています。例えばApple Japanでは「他ポジションに挑戦したい場合、英語での会話・文書作成スキルがある人が優遇される」といった社員の声も報告されています。）

コンサルティング・専門職

・マッキンゼー（McKinsey & Company）
出典： LinkedIn（マッキンゼー日本オフィスのパートナー投稿）（2022年9月）
概要： 世界的戦略コンサルのマッキンゼー日本法人は、新卒採用で海外大学の学生を対象にした選考枠を設けています。例えば2022年秋には「2023・2024年卒業予定の海外大学（大学院）生向け採用イベント」の開催と応募受付を公式にアナウンスし、多くの海外大生との出会いを期待すると述べています。具体的にはボストンキャリアフォーラム（BCF）に合わせて海外大卒業予定者向けのフルタイム選考を実施し、参加できない場合も個別対応するなど柔軟な対応を取っています。このように、海外大学卒の学生を積極的に採用する方針が示されています。

・アクセンチュア（総合コンサルティング）
出典： マイナビ2026 企業採用情報ページ（最終更新日2025年5月9日）
概要： 採用データ上で、「海外留学経験のある学生を積極採用」「留学生を積極採用」と明記しています。これは同社が新卒採用で多様な人材を求めており、異文化経験や高い語学力を持つ人材を優遇していることを示すものです。実際、アクセンチュアではグローバルプロジェクトも多いため、留学経験者やバイリンガル人材が活躍しやすく、採用段階でもそうしたバックグラウンドを持つ応募者を歓迎する姿勢が鮮明です。

・ボストンコンサルティンググループ（BCG）
出典： ボストンキャリアフォーラム公式攻略サイト記事（2022年）
概要： BCGは新卒採用において、海外大学卒業見込みの学生に限定した募集枠を設定しています。実際、2022年のボストンキャリアフォーラムでは、マッキンゼー・BCG・ベインの戦略コンサル3社が出展しましたが、BCGとベインについては「海外大学を卒業見込みの学生限定」と募集要項に明記されました。言語要件も日英両語で上級レベルとされ、まさに留学組やバイリンガル学生を優先した採用となっています。このように、海外大生・留学経験者に有利な特別選考枠を設けることで、グローバルに活躍できる人材の確保を図っています。

製造業・その他

・日立製作所（重電・ICT）
出典： 日立製作所プレスリリース（2023年3月10日）
概要： 2024年度新卒採用計画で、通年採用（年間を通じた応募受付）の導入を発表しました。その理由の一つとして「海外への留学や年度途中の進路変更等で、日本の就活ピーク時に応募が難しい人にも応募機会を提供する」ためと説明しています。つまり、留学経験者が日本の一括採用スケジュールにとらわれず応募できる柔軟な制度に変更した形です。これにより、コロナ禍で海外留学を経験した学生や帰国子女など多様な人材を逃さず獲得する狙いがあるとされています。

・東レ（素材・化学メーカー）
出典： 東レ サステナビリティ報告（人材確保・育成ページ）（2023年度）
概要： 外国籍社員や海外大学卒業の日本人留学生を積極的に採用していることを公式に公表しています。東レの人材戦略では、多様な能力・個性を持つ人材の活躍を掲げており、その一環として日本への留学生（外国人留学生）や海外大卒の日本人を優遇して採用していると記述されています。実際、同社の近年の新卒採用では海外名門大学出身者や留学経験者の比率が高まっており、グローバル展開を支える人材確保につながっています。

「グローバル経験格差」が生む就職の現実

同じ大学出身でも明暗が分かれる理由
実際の採用現場では、同じ有名大学出身者でも、グローバル経験の有無により大きな差が生まれています。これは単なる語学力の問題ではなく、多様性への適応力や問題解決能力の違いが評価されているからです。

採用される学生の特徴：
・海外留学や国際交流の経験が豊富（困難な状況での適応力を示す）
・多様な価値観への理解と適応力（チームワークでの実践的スキル）
・実践的な英語コミュニケーション能力（ビジネス場面での即戦力）
・異文化での問題解決経験（創造的思考力と実行力の証明）

苦戦する学生の特徴：
・受験勉強中心で国際経験が乏しい（画一的な思考パターン）
・日本の常識にとらわれた思考パターン（グローバル環境への不適応）
・座学中心で実践経験不足（理論は分かるが応用力不足）
・多様性への理解不足（チームでの協働能力に疑問符）

次回予告

第2回では、なぜ日本の優秀な学生がグローバル市場で苦戦するのか、日本とグローバル教育の決定的な違いについて詳しく解説します。従来の日本教育が重視してきた「正解を求める力」と、グローバル社会で求められる「答えのない問題を解決する力」の違い、そして海外教育が育む「未来に求められる力」について、具体的な事例とともに深掘りしていきます。
この大きな変化をチャンスに変えるために、次回もぜひご覧ください。お子さまの未来を考える大切な情報をお届けします。

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